灰と幻想のグリムガル 第9話の感想・考察
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- 2016年冬アニメ
感想・考察
ハルヒロ
“今日は休みにしたんだっけ”
何をしたら良いのか分からない為、次々と仲間の様子を伺うハルヒロ。忙しかった日々から急に解放されると何していいかわからなくなるって事ってありますよね。とりわけ生活するのに、生きるのに必死だった分、そこから急な日常への落差に戸惑いを覚えたようですね。もちろん以前の記憶がないというのも大きな要因でしょう。
“ホットケーキ……アツアツのうちは……”
ハルヒロ達が新市街のゴブリン達を動かしルーキー達が襲われた、と伝えるキッカワ。この場面でキッカワはハルヒロの胸に手をやりますが、これは単に「危険だから近づくな」「気にするな、ほっとけ」という事でしょうか。それとも「マナトの敵討ち、お疲れ」、はたまたこの状況に対する皮肉を込めた行為なのでしょうか。まぁキッカワの様な性格から遠回りな皮肉はないと思います。彼はRPGゲームで言う情報通のお助けキャラの側面があります。クエストを達成した後に話しかける事で新たなクエストが発生するなんてこと良くありますよね。これまでも例えば、各職業の役割を教えてくれたり、神官を紹介してくれたりなど。そんな彼があえて胸に手を当てたのは、マナトの敵討ちを労ってくれたのかなと思いました。
“そうだね、俺はサイリン鉱山に行きたいかな”
モグゾーの後押しで“サイリン鉱山”への狩場変更を口にするハルヒロ。安全性を確保すること、慣れからくる油断、新しい物への好奇心、ダムロー現状など様々な理由を挙げ仲間に理解してもらうための材料を並べます。しかし最終的に仲間を納得させたのは並べられた言葉ではなく意思を持った言葉でした。また少しリーダーとして前進したように思えます。
“そんな場所が存在すること自体、忘れてしまいたい程だ”
メリイがトラウマを抱える様に、ハルヒロ達もトラウマを抱えている。前話でマナトへの想いに一区切りを付けましたが、これは頭理解し割り切っただけであり、心は別であると表現しているのだと思います。
“迷惑なわけないよ”
メリイからの真っ直ぐで等身大の告白に思わず涙をみせるハルヒロ。自分自身でもその理由ははっきりわからない様ですね。仲間と口にしてくれたことが嬉しかったのか、頼ってくれたことが嬉しかったのか、彼女が気持ちを共有させてくれたことが嬉しかったのか、はたまた好意を抱く相手の前に踏み出そうとする姿が嬉しかったのか、様々なことが想像できますね。
スキルや恋愛に関してこの作品ではあまり興味がないので省かせて頂きます。
メリイ
■変化を見せる心
“座ったら”
宿とはいえ自宅・プライベート空間なので誰でもは招き入れないはずです。ましてや警戒心の強いのメリイですから。にも関わらずあの様な行為をするとは、ハルヒロに対する信頼は相当高いのでしょう。“ユメやシホルにも紹介してあげようかな”この言葉から分かるように、もちろんハルヒロだけに心を開いている訳ではないようですね。別々の部屋とはいえプライベートを過ごす宿を苦手や嫌いな人に紹介はしませんよね。メリイからの歩み寄りを感じました。
“宿舎かぁ……懐かしい”
彼女はこの時どんな思いで懐かしんでいたのでしょうか。ハルヒロはメリイの過去を思い起こさせてしまい思わず顔を伏せてしまいます。しかしメリイの表情からは嫌な事を思い出したという様には見えませんでした。「自分にもそんな時期があったな」と物思いにふけるには重過ぎる過去であり、「今はいない仲間」を想うには柔らかな表情で、彼女の心境を察することが出来ませんでした。皆さんは彼女の表情と発言からどの様な事を感じましたか。何にせよ懐かしむだけの余裕が生まれたのは良い事だと思います。
“乗り越えないといけない”“乗り越えたい”“前に進めない気がして”
脅迫にも近いトーンで発せられたこれらの言葉から強い葛藤と自己嫌悪を感じました。生活するだけなら大きな障害にならないはずのサイリン鉱山を克服したいと考えるメリイ。これ以上大切な人を失いたくないという思いから人と距離をとっていた彼女の前に、再び現れた仲間になってくれるかもしれない人達。彼らが死を乗り越える姿を見て自分も変わりたい、彼らにより近づきたい、一緒に進みたいと考えたのではないでしょうか。ハルヒロ達はメリイが望めば拒まないはずですから、むしろ“私を仲間だと言ってくれたから”という言葉には自分自身の否定、つまり自分もトラウマを乗り越えなくては彼らと一緒にいる資格がないと頑固な彼女は考えていた様に思えました。もちろん彼らと一緒に過ごし、信頼できる人達だと素直に思えたから出た言葉だとも思います。
メリイが仲間を失ってからハルヒロ達に出会うまでどんな人と、どんな想いで過ごしてきたのかより詳しく知らなければ彼女について深く理解するのは難しいかもしれませんね。
ランタ
“朝早くに出かけたよ”
ハルヒロは意外と言っていましたが、私はしっくりきました。まぁ昼過ぎまで爆睡してそうにも見えますが、ランタは夏休みのラジオ体操を皆勤する虫取り少年タイプですね。(笑) それはさて置き、彼は一人の時間を必要とする人みたいですね。静かに釣りをしている姿と仲間の前での騒がしい姿が対照的で、あれは臆病で弱い自分を隠すため行為であり、素の彼はこちらなのかなと改めて思いました。
モグゾー
“それだといつもと変わんなくない、せっかくの休みなのに”
ランタとは対照に普段通り過ごすモグゾー。休日だからといって特別な事をすると余計疲れてしまう人っていますよね。
ユメ
“毎日同じって、そんなにダメなん?”
彼女はこれまでも活発な様子でしたし、狩場変更に難色を示すユメは意外でシホルの方が抵抗すると思っていました。命懸けの戦いなので当たり前と言えば当たり前なのですが保守的な性格の様ですね。今回はダムローの状況を考慮し変更を受け入れましたが、そうでなかった場合はどうするのでしょうか。方針や考え方の違いをうやむやに流さず、キッチリ話をつけておかないと今後面倒なことになりそうだなと感じます。
シホル
“習慣で……何となく”
4話冒頭の様に鳥に餌を与えるシホル。マナトはいなくなってしまったが、シホルの中にはしっかりと彼は居続けているようですね。そして、それは決して後ろ向きな行為ではなく一緒に過ごした時間を忘れたくない、大切な思い出にしたいと考えているからではないかと、彼女の表情を見て思いました。だからこそ次に出た言葉が“今後ともよろしく”だったのではないでしょうか。シホルの口癖は“なんとなく”なんでしょうかね。なんとなくそんな事も思いました。
“朝日も綺麗だよ”
これはマナトの“ほんと綺麗だね、夕日”に対する返しだと思います。あの場面はグリムガルに来たばかりの彼らが日常の一コマにも余裕が持てなかった状態からの脱却を意味していました。今回はシホルの中に改めて余裕が生まれた事を表しているのではないでしょうか。“そっか、それで習慣なんだ”とハルヒロは察しますが、彼はマナトとシホルが餌やりをしていたことを知らないはずです。なのにマナトの事に気付けたのは、あそこからの景色は仲間にとっての共通の思い出なのだと思います。
終わりに
日常の中で垣間見える行為からは、その人が歩んできた中で大切にしてきたモノが見えますね。そんなことを改めて思わせてくれるお話でした。また、視聴者にも次の冒険に備えるための心の準備や、キャラへの理解を深めたりなど重要な話だったと思います。
次週が楽しみです。
ここまで読んで下さった方ありがとうございます。
照井春佳@teruiharuka灰と幻想のグリムガルを見てくださったみなさま、ありがとうございました。みんなのこころの向こう側が少し見えるような9話でした。
2016/03/07 01:03:47
グリムガルは毎回そうなのですが、次回も、どうしても見逃して欲しくないお話でして。一緒に見ていただけると嬉しいですっ!|電柱|・ω・)
#グリムガル
eNu(えぬ)@nachamudaっっはーー!後半はまた胸いっぱいになる展開でしたね。休暇パート良かったなぁ(>ω<)たまにはゆっくりするのも大事だね。
2016/03/07 01:00:55
パーティの絆が深まってきていて嬉しいな。残り少なくなってきましたが、最後まで楽しみですヽ(*∀`)ノ#グリムガル
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コメント
コメント一覧 (1)
真正面からトラウマと向き合う道を提示するハルヒロに対して、避ける道だってあるんじゃないの?と
仲間をいつも気遣ってきたユメらしい
逆にランタは食い気味に乗っかってきて萎縮しかけた空気をうまく壊してるね
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